シン・エヴァンゲリオン 線路が分けた新世界 マリとシンジの愛

個人の勝手なマリとシンジへの解釈です

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シン・エヴァンゲリオンの劇場版が終幕しました。もう、テレビシリーズから25年、四半世紀になるんですね。長い時間でした。庵野監督はこれでやりきった旨の発言をしています。ここで最後になるんでしょうね。

 

ラストシーン(エピローグ)について様々な解釈が言われています。皆さん、エヴァファンの方々の考察にとても追いつくものではないのですが、ラストに感動したものにとって他の人の意見も踏まえて自分なりの受け止め方をまとめてみたいと思います(いい加減な話ですが、たぶんこの後も見返すので解釈が変わったりする可能性もあります)。

 

この物語の話の軸になったのは碇シンジと父親碇ゲンドウ、妻であり母である碇ユイの立ち位置がすごくしっかりしていることです。旧劇場版でも描かれてはいましたが、今回は父と母とシンジとの関係性と価値観がはっきり出ていて庵野監督のエヴァシリーズの集大成ともいえる作品に仕上がっているように思いました。

 

ラストシーンは山口県の新宇部川駅と思われるところで、駅のフォームに成長したシンジと同じく大人になった真希波・マリ・イラストリアス登場します。そして、反対フォームに高校生と思われるレイ、カヲル、アスカがいます。そのシーンの後にシンジの目の前にマリが現れDSSチョーカーを外し、「さあ、行こう」と声を掛けるとシンジが声を掛けなおしマリと手をつないで駅の階段を駆け上がります。ここで私はジーンと来ました。意外ながらも素敵なラスト(エピローグ)だと思い、何度も見直してしまいました。

個人的には「大人になったシンジとマリ」「高校生のカヲル、レイ、アスカ(を見つめるシンジ)」をまたぐ線路は新世界の境界線で、シンジが救済した魂であるレイとカヲル(ヒトとしてのリリスとアダムであり、それはエヴァのない新世界)が仲良く新しい世界を紡いでおり、アスカは一人ながらも新たな人生を歩んでいるものをシンジが”確認”していると思っています。そしてDSSチョーカーを外したマリはシンジをエヴァの世界から完全に開放したのではないでしょうか?

アスカ

話が少し飛びますが、シンジに救済された魂であるアスカは式波・アスカ・ラングレーという綾波式とならぶ人類補完計画に必要なクローン体としてではなく、旧プラグスーツで救済された惣流だと私は思っています。劇中で数あるアスカの写真が2枚に絞られましたが、1枚はクローン、もう1枚はオリジナルの惣流という人間としての女の子であり、その子が魂の結合と救済をなされたという解釈です(つたなかったらすみません)。つまり、シンジの線路の向こうにいるのは惣流・アスカ・ラングレーだと思っています。

 ラストシーンがマリとシンジであることについて

話を戻しますが、そしてその救済した3人を見つめていたところに現れたのがマリです。マリは唯一、クローンでもなく登場時からシンジを「ネルフのワンコ君」といい、最初の使徒との対決でも、自分の目的のために大人を巻き込むのは気後れする、と述べています。徹底してネルフに巻き込まれず、しかしながらエヴァ2号機をも知り尽くし、15歳という年齢にも縛られた描写も見えず、それでいて、冬月(冬月先生と呼び、冬月から「イスカリオテのマリア(キリスト教でいうイスカリオテのユダと、キリストを生んだマリア、妻のマリアを掛け合わせたとファンの間で言われています)」と呼ばれたとき、久しぶりに呼ばれたと感想を述べています)とは古くからの知り合いであることが描写され、「ゲンドウ君」「ユイさん」と呼ぶ姿勢は漫画版のマリ(イギリスから冬月、ゲンドウ、ユイのいる京都の大学に留学し、そして去る16歳の天才少女)を彷彿とさせる「エヴァ以前から存在するシンジやレイとは異なる徹底した独立的な存在」でした。駅のフォームのシンジの側にいる人間として十分な存在です。最後にマリとシンジが結ばれるのは本当に意外でしたが、考えを積み重ねていくと悩みながらも独立した魂を持ち続けたシンジにふさわしいのは同じく独立した魂を持ち続けたマリが相手にふさわしいように思います。

 

戦闘の最中でも「必ず迎えに行くから待ってなよ」と名台詞を言います。かつて「あなたは死なないわ。私が守るもの」の綾波レイの言葉に匹敵する、シンジを守る強い意志をもった守護神としての役割をも果たします。冬月はマリに「必要なものは揃っている」と告げ、ゲンドウ君の意思を阻止しつつもユイさんの意思(遺志)をくみ取りつつ二人の永遠を見届け、シンジを救済し、最後のエヴァンゲリオンに別れを告げる。このマリこそまさにヒロインといえる存在になっています。

そう思うとラストシーンは感動ひとしおでした。

 

独りよがりな部分や他人のお知恵を借りた部分もあるつたない解釈でしたが最後までお読みいただいた方がいらたら心から感謝申し上げつつ、改めて観なおし、ほかのファンの方の様々な解釈も見ていきたいと思います。(ご指摘や観なおしでまた記事の加筆もあるかとおもいます)ありがとうございました。